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「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震」現地調査報告

投稿者: Gaia 掲載日: 2008/12/9 (3461 回閲覧)
  • 調査期間:平成20年7月24日から26日。
  • メンバー:
    板寺一洋 主任研究員
    原田昌武 技師
    小田原啓 技師
  • 化学分析担当:代田寧 主任研究員
 2008(平成20)年6月14日岩手県内陸部南部の深さ8kmでM7.2(気象庁)の地震が発生しました。この地震を神奈川県との類似性という観点から見てみると、岩手・宮城内陸地震は火山地域(栗駒山)周辺において発生しており、神奈川県西部も火山地域(箱根・湯河原)を抱えています。 またこの地震では、山間部における大規模地滑りや斜面崩壊が顕著でしたが、1923年関東地震では丹沢山地が大崩壊したという記録や根府川では山津波が発生した記録が残っています。  さらに土石流による河川のせき止め(震生湖)が数多く発生しましたが、関東地震の際にも秦野市に震生湖が発生しています。  そこでこのような類似性に着目し、神奈川県西部地震に対する山地の崩壊や土砂災害などを想定した調査を目的とし、現地調査を行いました。

1.平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震の概要

調査ルート図
温泉地学研究所による調査ルート図。赤線が今回の調査ルート。
  • 発生日時:平成20年6月14日8時43分
  • 場所:北緯39度01.7分、東経140度52.8分(岩手県内陸南部の深さ8km)
  • 規模:M7.2(気象庁)
  • 震度:
    6強(岩手県奥州市、宮城県栗原市)
    6弱(宮城県大崎市)
    5強(岩手県北上市、一関市、宮城県仙台市、名取市、登米市、秋田県湯沢市等)
  • 発震機構:西北西−東南東に圧力軸を持つ逆断層型

岩手・宮城内陸地震の詳細につきましては気象庁特集ページ(ページへリンク)をご覧ください。

2.地表地震断層の調査

断層写真1 断層写真2 断層写真3
地表に現れた地震断層によって傾いた木。断層は傾いた木の根元から田んぼの中(稲の色が違う境目付近、破線)を通っています。 写真の左右で稲の色が違います。左側は断層(破線)で50cm程隆起し、干上がったため、稲の生育に差が出たと考えられます。 地震断層の延長線上にある杉林の地滑り。

3.山間部における土砂災害

矢びつダム付近の土砂崩れと橋の崩落

矢びつダム写真1 矢びつダム写真2 矢びつダム写真3
矢びつダム付近、国道342号の土砂崩れ。ここより手前で通行止になっていました。この先には橋桁が崩落した祭畤(まつるべ)大橋があります。 矢びつダムにかかる昇仙橋の崩落。岩盤もろとも崩落していました。黒く見えるパイプは地震前に使用していた温泉の送湯管です。 矢びつダムにかかる昇仙橋の崩落。白く見えるパイプは地震後に新たに架けられた温泉の送湯管です。

荒砥沢(あらとざわ)ダムの大規模な地滑り

荒砥沢ダム写真1 荒砥沢ダム写真2 荒砥沢ダム写真3
荒砥沢ダムは、石を積み上げて作られたロックフィルダムです。ダム堤本体にはほとんど被害が認められませんでした。 ダム湖南岸から撮影した、荒砥沢ダム上流の大規模な地滑り。地震後はダム湖の水位を下げています。 地滑りによって大量の土砂がダム湖に流れ込んでいます。地元の目撃者によると、ダム湖に3~4mの津波が発生したという話です。

荒砥沢ダム写真4 荒砥沢ダム写真5 荒砥沢ダム写真6
地割れにより、下の地層がむき出しとなった、ダム湖北岸の道路。これより先の道路は、地滑りによって滑落していました。 ダム湖北岸から見た、地滑りの様子。生えていた樹木ごと湖に向かって滑っていました。 写真手前の、くの字に見える黒い物体(矢印)は、地滑りによって崩壊した道路のアスファルトの残骸です。

4.地震発生後の温泉の変化について

東北大原図
岩手・宮城内陸地震前後での温泉の変化に関する聞き取り調査結果。東北大学大槻教授の原図。
 今回の地震において、東北大学大学院理学研究科地学専攻の大槻憲四郎教授らの調査により、地震発生の前後で温泉の量や温度に変化があったという記事(平成20 年7月3日,朝日新聞)が掲載されました。
 そこで温泉地学研究所では、大槻教授の協力のもと、量や温度に変化があった温泉について、地震の前後に温泉の化学成分に変化があったかどうかに着目し、現地で源泉の調査をおこないました。
 温泉地学研究所は、温泉分析の登録分析機関であるとともに、地震・火山の観測監視を行っている研究所です。ですので今回の調査では、神奈川県で今後、温泉を調査することから何らかの地震の前兆が見つけられないか、その可能性を探ることも目的としています。




















温泉写真1 温泉写真2 温泉写真3
地震前の化学成分は、温泉分析書のデータを使用します。温泉分析書は、登録分析機関が鉱泉分析法指針に基づいて作成します。 川渡(かわたび)温泉の源泉。地震前に湯量が増え、天井まで吹き上げたという話。また、地震後には湯の華が黒色に変化したとのこと。 矢びつ温泉の源泉小屋。小屋の脇は地層がむき出しの崖になっており、今回の地震でも崩落したとのことです。

温泉写真4 温泉写真5 温泉写真6
現地で、温度・pH・電気伝導度・湯量を測定し、採水を行いました。採取した温泉水は研究所で鉱泉分析法指針に準じて分析します。 地震前に湯量が増えたという川渡温泉の源泉。東北大学によって、ラドン計が設置されていました。 昇仙橋とともに崩落した矢びつ温泉の送湯管(黒色)。地震後すぐに新しい送湯管(白色)が架けられました。約2km先の旅館まで温泉を引いています。

温泉の化学成分について、現在、温泉地学研究所で分析しています。今回分析した地震後の化学成分と、温泉分析書に掲載されている地震前の化学成分の比較を行い、成分に変化があるかどうか、あるとすればその原因は何なのかについて解析します。
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