「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震」現地調査報告
- 調査期間:平成20年7月24日から26日。
- メンバー:
板寺一洋 主任研究員
原田昌武 技師
小田原啓 技師 - 化学分析担当:代田寧 主任研究員
2008(平成20)年6月14日岩手県内陸部南部の深さ8kmでM7.2(気象庁)の地震が発生しました。この地震を神奈川県との類似性という観点から見てみると、岩手・宮城内陸地震は火山地域(栗駒山)周辺において発生しており、神奈川県西部も火山地域(箱根・湯河原)を抱えています。 またこの地震では、山間部における大規模地滑りや斜面崩壊が顕著でしたが、1923年関東地震では丹沢山地が大崩壊したという記録や根府川では山津波が発生した記録が残っています。さらに土石流による河川のせき止め(震生湖)が数多く発生しましたが、関東地震の際にも秦野市に震生湖が発生しています。そこでこのような類似性に着目し、神奈川県西部地震に対する山地の崩壊や土砂災害などを想定した調査を目的とし、現地調査を行いました。
1.平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震の概要
- 発生日時:平成20年6月14日8時43分
- 場所:北緯39度01.7分、東経140度52.8分(岩手県内陸南部の深さ8km)
- 規模:M7.2(気象庁)
- 震度:
6強(岩手県奥州市、宮城県栗原市)
6弱(宮城県大崎市)
5強(岩手県北上市、一関市、宮城県仙台市、名取市、登米市、秋田県湯沢市等) - 発震機構:西北西−東南東に圧力軸を持つ逆断層型
岩手・宮城内陸地震の詳細につきましては気象庁特集ページをご覧ください。
2.地表地震断層の調査
3.山間部における土砂災害
矢びつダム付近の土砂崩れと橋の崩落
荒砥沢(あらとざわ)ダムの大規模な地滑り
4.地震発生後の温泉の変化について
今回の地震において、東北大学大学院理学研究科地学専攻の大槻憲四郎教授らの調査により、地震発生の前後で温泉の量や温度に変化があったという記事(平成20 年7月3日、朝日新聞)が掲載されました。
そこで温泉地学研究所では、大槻教授の協力のもと、量や温度に変化があった温泉について、地震の前後に温泉の化学成分に変化があったかどうかに着目し、現地で源泉の調査をおこないました。
温泉地学研究所は、温泉分析の登録分析機関であるとともに、地震・火山の観測監視を行っている研究所です。ですので今回の調査では、神奈川県で今後、温泉を調査することから何らかの地震の前兆が見つけられないか、その可能性を探ることも目的としています。
そこで温泉地学研究所では、大槻教授の協力のもと、量や温度に変化があった温泉について、地震の前後に温泉の化学成分に変化があったかどうかに着目し、現地で源泉の調査をおこないました。
温泉地学研究所は、温泉分析の登録分析機関であるとともに、地震・火山の観測監視を行っている研究所です。ですので今回の調査では、神奈川県で今後、温泉を調査することから何らかの地震の前兆が見つけられないか、その可能性を探ることも目的としています。
温泉の化学成分について、現在、温泉地学研究所で分析しています。今回分析した地震後の化学成分と、温泉分析書に掲載されている地震前の化学成分の比較を行い、成分に変化があるかどうか、あるとすればその原因は何なのかについて解析します。