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 II−1−(1)神奈川の温泉分類

神奈川の温泉の分類

(1) 神奈川の温泉分類

 神奈川県の温泉は、産状により火山性温泉と非火山性温泉に分けられます。火山性温泉は、箱根火山など第四紀(二百万年前以後)の火山活動で形成された温泉をいいます。
 また、深層地下水型は、熱水作用のなごりである丹沢山地の温泉等があり、化石海水型は、数百万年前の海水が地層中に長い間閉じこめられてできた温泉をいいます。また、簡単に源泉の所在地により下の表のように分けることもできます。神奈川県は我が国有数の温泉県です。


 神奈川県には、2007(平成19年)3月末現在で620箇所の源泉が存在し、その湧出量の合計は、毎分3万8千リットルにおよんでいます。
なかでも、箱根の源泉は源泉数にして364箇所、湧出量毎分約2万3千リットルと神奈川県の温泉の約6割を占めています。神奈川県の温泉は、産状により火山性温泉と非火山性温泉に分けられます。




 


温泉地区分 特    徴

箱根地区の温泉

箱根温泉は詳細な研究による泉質分帯図が作成され、温泉の湧出機構や地質状況との関係が明らかにされた。箱根温泉の泉質は4種類に区分できる。第I帯は酸性硫酸塩泉、第II帯は重炭酸塩硫酸塩泉、第III帯は塩化物泉、第IV帯は塩化物重炭酸塩硫酸塩泉(混合型)とした。第III帯の温泉と第IV帯の温泉は神山の東側だけに分布し、西の芦ノ湖側に見られない。

箱根の温泉

箱根湯本地区の温泉

箱根温泉の玄関口にある湯本地区の湯本、塔ノ沢などの温泉は、基盤岩の早川凝灰角礫岩や湯が島層群の割れ目から湧出している。pH8〜9の単純温泉が箱根地区全体の3分の1と多く、肌にさわやかで神経痛、筋肉痛などによい。また、食塩型や石膏を含む食塩型の温泉は入浴のぬくもりが残り、切り傷、やけどなどによい。

箱根中央地区の温泉

強羅、二ノ平などの温泉は、中央火口丘溶岩類から湧出する温泉と基盤岩類から湧出する温泉がある。pH8〜9の食塩型の温泉が箱根中央地区の半数あり、切り傷、やけどなどによい。次いで、単純温泉や芒硝を含む食塩型の温泉などが多く、肌に沢やんで神経痛、筋肉痛などによい。

箱根山岳地区の温泉

仙石原、元箱根などの温泉は中央火口丘の溶岩類中や同噴出物基底部から湧出している。pH6〜8の重炭酸土類を含む芒硝型の温泉は肌になじみやすく、動脈硬化症やきりきずなどによい。

箱根蒸気造成による温泉

大涌谷や早雲山などの噴気地帯では、噴出する蒸気と地下水から温泉を造成し、仙石原や強羅などに給湯している。pH2〜3の石膏を含む芒硝型の温泉は、肌がひきしまり、、動脈硬化症やきりきずなどによい。pH6の硫黄を含む単純温泉は、肌になめらかで慢性皮膚病、慢性婦人病などによい。

湯河原地区の温泉

湯河原地区の温泉は、箱根火山が出現する前に噴出した湯河原火山の浸食カルデラの中心部に位置し、基盤岩である湯が島層群の割れ目から湧出している。湯河原では、半径1キロメートルの円周内に100以上の源泉が密集しているので源泉相互の影響が現れやすく、掘削の規制が行われている。もっとも多いpH8〜9の石膏を含む食塩型の温泉は入浴のぬくもりが残り、切り傷、やけどなどによい。単純温泉は肌にさわやかで神経痛、筋肉痛などによい。また、海岸付近にある強食塩型の温泉は、肌にしみとおり、きりきず、やけどなどによい。

丹沢山地付近の温泉

県中央部の丹沢山地付近で湧出する中川、七沢などの温泉は2000万年前に割れ目に沿って上昇してきたマグマの熱水作用のなごりと考えられる。pH9〜10と高い単純温泉は、肌にさわやかで神経痛、筋肉痛などによい。塩化土類型の温泉は肌にしみとおり、きりきず、やけどなどによい。また、塩化土類を含む芒硝型の温泉は、肌になめらかで、動脈硬化症やきりきずなどによい。

臨海部付近の温泉

県東部を中心として臨海部付近の横浜、川崎などの温泉は、大昔の海進、海退によって地層中に閉じこめられた水を起源としている。茶褐色に着色したpH6〜8の重曹型の温泉は、西洋の鉱泥浴に似ており、肌になじみやすく、きりきず、やけどなどによい。

神奈川の温泉分類

     さらに詳細な神奈川の温泉については次のページをご覧下さい。


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