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III −2−(2) 温泉の取り方

(1) 揚湯方法の変遷

 箱根温泉誌(1981)では温泉採取方法に着目して、次のような時代区分をしています。

時代区分 年代

 自然湧泉の時代

 古来より〜昭和3年

 自噴掘削泉の時代  

 昭和3年〜昭和8年

 渦巻きポンプの時代

 昭和8年〜昭和24年

 エアー・リフト・ポンプの時代

 昭和24年〜昭和56年

 水中ポンプの時代

 昭和56年以降

揚湯方法の変遷

 この時代区分は、温泉地により年代に多少のずれはあります。また、この時代区分は温泉需要の増加、掘削深度の増加、温泉水位の低下、揚湯装置の開発等に反映しています。


 

渦巻き(タービン)ポンプ エアーリフトポンプ 水中ポンプ

渦巻き(タービン)ポンプ

エアーリフトポンプ

水中ポンプ

地表に渦巻き型の揚水ポンプを設置して温泉をくみ上げるもの。ストローでジュースを飲むのと同じ原理です。

圧縮した空気を井戸内に吹き込み気泡とともに温泉をくみ上げるものサイダーのビンにストローを入れて息を吹き込んだときにあふれ出てきた時にあふれ出てくる状態に似ている。

井戸内の水面以下にポンプを設置して温泉をくみ上げるもの。

温泉の汲み上げ方法

検層現場(1)

(2) 検層法  

 温泉孔井掘削後に検層を行い、温泉湧出位置を確実に検出することは孔井管理上必要です。 
 温泉湧出位置を確実にすることにより、孔井の構造(ケーシング挿入、水止め位置)を良好に仕上げることができます。また、後になって湧出量が減少したり、泉温が低下した場合でも、孔内の状況を調べて改良すれば、むやみに増掘したり、より強力なポンプを用いたりしなくても再び良好な源泉になり得る場合もあるのです。このことは経済的であるばかりでなく、地下の温泉を大切に守っていく観点から大切です。
 1961(昭和36年)に温泉研究所が設立された当時は温泉孔井の検層法は確立されていませんでした。それ以降温泉孔井の検層法の研究が進み、昭和41年に現在の検層法が確立されました。

温度検層
 温泉研究所設立当時は温泉孔井の検層に比抵抗を中心とした、いわゆる電気検層を行っていました。比抵抗を中心とした検層は、堆積岩(礫層、砂層等)を対象とした場合には有効ですが、箱根、湯河原の温泉のように火山岩の岩盤の亀裂水である温泉を対象にした場合には、温泉湧出位置の決め手にはなりません。そのため、考え出されたのが次の温度検層です。まず、最初に自然の状態で孔内温度を測定します。次に地表にある冷水を孔井に注入しながら孔内温度を測定します。注入された冷水は温泉を胚胎する温泉脈に到達するまで、途中の温度を低下させながら孔内を流下します。温泉脈に到達する 検層現場(2)と、割れ目(温泉脈)に沿って周囲の地層中に流れ込みます。その結果、孔内は割れ目を過ぎると急激に温度が上昇します。つまり、割れ目付近に温度異常が現れます。

注入前と注入中の温度測定の結果を比較することにより温泉湧出位置が確実になります。



示差温度検層
 孔内の主要な温泉脈の検出は前述した温度検層でも可能ですが、微弱な温泉脈や、温度のあまり高くない孔井での温泉脈などの検出は、通常の温度測定だけでは多くの場合困難です。そこで考えられたのが示差温度検層法です。孔内の一定間隔にある2点間の温度差(温度勾配)を各深度で測定するのが示差温度検層です。この方法では普通の温度検層に較べて微細な温度差も顕著に表れます。







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