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 I−3 世界の温泉

(1)世界の温泉ビジー(フランス)飲泉所(温泉地学研究所展示コーナーより)

 世界の温泉分布を下の図で見てみると、温泉は世界各地で湧出していますが、その分布にはかたよりが見られます。外国ではヨーロッパ諸国をはじめ、南北アメリカ、ニュージーランド、中国、韓国などアジア諸国において温泉が湧出し、利用されています。これらの地域は、日本列島を含む太平洋を取り巻く環太平洋火山帯に位置し、火山活動が活発で地殻運動が続いている新期造山帯であり、温泉地が多く分布しています。アフリカ東部の地溝帯に沿う温泉も古い時期の火山活動に関係しているものです。また、火山があまり見られないアジア大陸の内陸部などにも温泉の湧出が見られます。 
 温泉利用の歴史は古く、温泉が歴史上に現れたものとしては、紀元前500年頃に、ギリシャで硫黄泉に入浴していたという記録があります。ローマに有名なカラカラ大浴場をつくったローマ人は、温泉を好み、古代ローマ帝国時代にヨーロッパ各地で温泉を開発し、傷病者に温泉療法を広めたといわれています。
 ヨーロッパではイギリスのバース、ドイツのバーデンバーデン、フランスのエクスレバン、ビジーなど有名な温泉地があります。



世界の温泉分布


ビスバーデン(ドイツ)の温泉プール(温泉地学研究所展示コーナーより)

 西ヨーロッパでは地下から湧き出る水を聖水と考える信仰が見られ、聖地に湧き出る鉱泉水や温泉水は、巡礼者によって心身を癒す飲料水や沐浴に用いられました。

 一方、アジア地域のインドでは、釈迦が入浴したと伝えられる温泉が現存して、インドの温泉は、ガンジス川と同様に沐浴して心身を清めるところとされています。
 中国では、温泉は病気治療の力が備わった神秘的なものとされ、8世紀の唐の時代の楊貴妃のロマンスで有名な華清池の温泉は神女が湧出させたと言い伝えがあります。
 世界では、一般的に温泉プールや露天風呂には、水着で入り、水泳とともに日光浴を楽しむ傾向にあります。また、温泉に入ることをせず、あくまでもその温泉の自然の景観を楽しむだけという温泉地もあるようです。
 温泉を暖房や発電に利用したり、日本とは温泉の利用方法が異なるところもあります。


(2)飲泉カップ

チェコのカルロビバリの陶磁器の飲泉カップ(温泉地学研究所展示コーナーより) ヨーロッパでは温泉療養の面から飲泉が盛んであり、飲泉カップは温泉地によって特徴があります。材質が陶磁器製やガラス製などがあり、最近ではプラスチック製のものもあるようです。特に、チェコのカルロビバリの陶磁器(右の写真)の飲泉カップなどは、歴史的にも有名です。この飲泉カップは温泉地学研究所1階の展示コーナーに展示してあります。










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地震火山災害の軽減や、県土の環境保全に役立つ研究を行っています。
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