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【大涌谷周辺(箱根山)の火山活動】

 気象庁は噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)を発表しています。
 箱根山で観測される火山性地震の数は、数日に一回程度まで落ち着きました。また、箱根山全体が膨張するような地殻変動も終息しています。しかしながら、大涌谷から放出される火山ガスの量は、活動の活発化前に比べて、依然多い状況が続いています。温泉地学研究所では、引き続き注意深く観測を続けています。

2017年12月14日現在

3. 地震活動の概要

3.1. 地震の分布

 箱根火山ではしばしば地震が観測されています。なんとなく火山で発生する地震は火山の活動と関係があるというイメージをもたれがちです。しかし、地震活動が火山活動の何を反映しているかというのは難しい問題です。たとえば、マグマの動きと地震は関係があるでしょうか?
 図3-1は、今回、箱根火山が活発化した4月下旬から8月末までの震源の分布です。マグマだまりはこれまでに行われた色々な研究から深さ7〜10kmより深い所にあると考えられています(例として図2-2)。一方、地震がおきているのは6kmより浅いところです。ですから、マグマだまりで地震がおきているわけではないといえます。
図3-1
図3-1  ダブルディファレンス法(DD法)を用いて精密に決定された震源分布。(a)震央分布図(芦ノ湖、湖尻、強羅の場所を記入)、(b)南北方向に投影した深さ断面図、(c)東西方向に投影した深さ断面図、(d)震源の深さと発生時間との関係(縦軸が深さ、横軸は地震が発生した時間)。期間は4月22日から8月30日。震源の色は4月22日を基準とした経過日数を示す。〇の大きさは地震の規模を表すマグニチュード(M)、M2.0以上の地震はオレンジ色で縁取りした。
図3-2
図3-2 噴火が発生した6月29日〜30日にかけて発生した地震活動。(a)震央分布図、(b)南北深さ断面図、(c)震源深さと地震発生時との関係。いずれの図も震源が丸で示され、大きさがマグニチュード(M)に対応し、Mが2.0を超える地震はオレンジ色で縁取りした。色は地震の発生時刻(6月29日7時からの経過時間)を示す。

3.2. 震源深さの時間変化

 そうは言っても、地震の分布を見ると深い所から浅いところまでつながっているように見えます。マグマが、深い所から浅いところに上がってきて、その過程で地震がおきているという風には読み取れないでしょうか。それを確かめたのが図3-2です。 図3-2abは小規模な噴火が発生した6月29日から30日の間に発生した地震の分布を示し、図3-2cは、震源の深さと時間の関係を示しています。もし、マグマが地下深くから上昇してきて、そのために地震がおきているとしましょう。その場合、地震もマグマの移動を反映し、地下深くで起き始めて、徐々に浅いほうで起きてくることが予想されます。ところが、6月29日12:30の噴火開始よりも前の7時頃に地震がおきたのは、大涌谷、湯の花沢から早雲山の間の深さ1kmより浅いところでした。その後、地震は時間を追うごとに深い所で起きるようになりました。
 こうした震源の移動パターンから、今回の噴火はマグマが上がってきたために起きたという可能性は低いと考えています。実は浅いところから、深いところへ震源が移動するのは、過去に発生した群発地震活動でも観測されており、今回が特別というわけではありません。
図3-3
図3-3 地震発生数のエリア別時間変化(右)。エリアの範囲は左の地図上に円で示してある。

3.3. 震源位置の変化

 これまでは地震の大まかな分布(3.1.)と地震のおきる深さの時間変化(3.2.)を見てきましたが、地震が活発なエリアはどのように変化していったのでしょうか。図3-3では、地震発生域を大涌谷付近、神山・駒ヶ岳付近、湖尻付近、金時山南麓付近の4つのエリアに分けて、それぞれにおける地震回数の時間変化を表しています。 この図を見ると、最初に地震が多かったのは大涌谷付近(4月末)、その後神山・駒ヶ岳付近(5月11日前後)が多くなり、湖尻付近(5月15日前後)、金時山付近(5月末)と続きます。つまり、今回の箱根群発地震では、震源の場所が時間の経過とともに移動していったように見えます。こうした震源の移動は2001年の群発地震でも同様でした。今回は、震源が箱根カルデラ内を一通り移動した後、6月29日にまた大涌谷付近や神山・駒ヶ岳付近で地震が活発になりますが、その日に噴火が発生しています。

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