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更新日:2012年07月02日 作成者:ウェブ担当 閲覧数:3,758

2011年度日本地震学会論文賞受賞について

当所の行竹技師が共同研究者として関わった以下の論文が、2011年日本地震学会論文賞を受賞しました。この論文は、東京大学地震研究所前田拓人助教(筆頭著者)、同研究所小原一成教授と行竹技師の共著です。

受賞理由

(日本地震学会のホームページより引用)
本論文では連続地震動記録に対して地震波干渉法を用い、大分県別府市近傍で2007年6月から7月と10月に二度にわたって発生した群発地震活動に伴う顕著な地震波速度変化を検出した。

この群発地震は地熱地帯で起きた活動で、深さ10kmから始まった活動が時間とともに浅部に向けて移動した。著者らは、この地震活動のほぼ直上に位置する観測点の連続記録を使い日々の自己相関関数をモニターした.その結果、地震活動の急増に伴い二度とも9?12秒のラグタイムで、0.1秒オーダーの顕著な地震波速度低下が起きたこと、それが約4ヶ月の時定数をもって緩やかに回復していることを解析より明らかにした。また本研究は、岩石の弾性的性質の変化が主にS波の散乱波として捉えられた事、及びその変化が群発地震域の下端で起きている可能性が高い事を示した点において、先行する諸研究を凌駕している。この地域がわが国有数の地熱地帯であることを勘案すると、観測された変化の原因が地殻内部の流体の移動によるとの推論には説得力があり、今後の精密なモデル化により地球科学的にも極めて興味深い知見が得られる可能性を秘めている。

火山活動や群発地震活動の推移には地殻内部の流体の関与が大きいと考えられる。この流体の移動を直接的に把握する手法として、地震波速度構造の変化をモニターすることは非常に有効である。しかし、秒オーダーよりも小さい微弱な変化を定常的にモニターするのは非常に難しい.地震波干渉法の登場により、定常的に速度構造の時間変化を捉えることが可能となり、世界中で地震波速度変化が報告されている。しかし、明瞭な変化が報告されているのは多くの場合は大地震による震源断層運動に伴うものや、あるいは強震動の入射に伴う地盤の変化であった。その中で本研究は、小さな地震群からなる流体の移動に関係していると思われる変化を二度にわたる再現性のある形で発見した。
以上のように本論文は地震活動に伴う地殻内部状態の時間変動を定常的にモニタリングする地震波干渉法を有効に用いて、地球科学的に極めて興味深い現象を明らかにした研究であり、平成23年度日本地震学会論文賞とする。

今後の展望

(以下、文責行竹)

受賞論文では地震波干渉法が群発地震活動に伴う地殻の地震波速度変化の検出に有効であることが示されました。今後は、この手法を箱根火山で発生する群発地震活動に適用するとともに、箱根火山活動の監視(モニタリング)技術の高度化に応用したいと考えております。

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