I−4−(1). 温泉の定義
(1) 温泉法による温泉の定義
温泉とは、読んで字のごとく地下から涌きだしてくる温かい泉のことです。温かい冷たいの感覚は人によって、季節や国によっても異なります。そこで世界各国で年平均気温を基準として温泉かどうか判断されています。日本や南アフリカでは25℃以上、イギリス、フランス、ドイツなど西ヨーロッパ諸国では20℃以上、アメリカでは21.1℃(華氏70度以上)が温泉温度の基準とされています。東京の平均気温15.9℃と比べると25℃は高いようですが、沖縄・石垣島の年平均気温は24℃ですので、25℃であれば、日本のどこでも熱い冷たいの基準となるようです。
日本では、1948(昭和23年)に公布された温泉法により、温泉の定義は「地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、温度が25℃以上又は指定された物質(成分ともいう。)が一定量以上含まれる」と定められています。
(温泉法の目的)
第一条 この法律は温泉を保護し、温泉の採取等に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害を防止し、及び温泉の利用の適正を図り、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(2) 温泉(鉱泉)になる条件
温泉法では次の条件のいずれかを満たせば温泉と定めています。一つは、地中から湧出する温度が、25℃以上あれば温泉となります。二つ目は、25℃未満であっても別表の2の物質(19種類のうちいずれかひとつ以上)の条件をみたせば、温泉法による温泉となります。
1 温度
温泉源から採取されたときの温度 | 25℃以上 |
2 物質
(下にあげるもののうち、いずれか1つ以上)
物質名 | 含有量(1kg中) |
---|---|
溶存物質(ガス性のものを除く) | 総量1,000mg以上 |
遊離二酸化炭素(CO2)(遊離炭酸) | 250mg以上 |
リチウムイオン(Li+) | 1mg以上 |
ストロンチウムイオン(Sr2+) | 10mg以上 |
バリウムイオン(Ba2+) | 5mg以上 |
総鉄イオン(Fe2++Fe3+) | 10mg以上 |
マンガン(Ⅱ)イオン(Mn2+)(第一マンガンイオン) | 10mg以上 |
水素イオン(H+) | 1mg以上 |
臭化物イオン(Br-)(臭素イオン) | 5mg以上 |
よう素イオン(I-)(沃素イオン) | 1mg以上 |
ふっ化物イオン(F-)(ふっ素イオン) | 2mg以上 |
ひ酸水素イオン(HAsO42-)(ヒドロひ酸イオン) | 1.3mg以上 |
メタ亜ひ酸(HAsO2) | 1mg以上 |
総硫黄(S)〔HS-+S2O32-+H2Sに対応するもの〕 | 1mg以上 |
メタほう酸(HBO2) | 5mg以上 |
メタけい酸(H2SiO3) | 50mg以上 |
炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)(重炭酸そうだ) | 340mg以上 |
ラドン(Rn) |
20×10-10Ci=74Bq以上 (5.5マッヘ単位以上) |
ラジウム塩(Raとして) | 1×10-8mg以上 |
(3) 療養泉
療養泉は、鉱泉分析法指針により定められており、鉱泉(鉱泉)のうち、特に治療の目的に供しうるものを療養泉とし、以下のいずれかの条件に適合するものをいいます。
1 温度
温泉源から採取されたときの温度 | 25℃以上 |
2 物質
(下にあげるもののうち、いずれか1つ以上)
物質名 | 含有量(1kg中) |
---|---|
溶存物質(ガス性のものを除く) | 総量1,000mg以上 |
遊離二酸化炭素(CO2) | 1000mg以上 |
総鉄イオン(Fe2++Fe3+) | 20mg以上 |
水素イオン(H+) | 1mg以上 |
よう化物イオン(I-) | 10mg以上 |
総硫黄(S)〔HS-+S2O32-+H2Sに対応するもの〕 | 2mg以上 |
ラドン(Rn) |
30×10-10Ci=111Bq以上 (8.25マッヘ単位以上) |