8. 2001年群発地震との比較
箱根火山の観測史上で、地震活動、地殻変動、噴気異常が見られた群発地震活動は2001年に発生しましたが、このときは噴火には到りませんでした。この活動は10年以上経過しているので、既にたくさんの研究がされており、今回の噴火がどういう活動だったのかを考える上で、比較することは有意義です。 地震の回数が3倍近くあることや、噴火をしたことから2001年よりも2015年の活動のほうが激しかったことは明らかです。しかし、GPSで見る限りマグマだまりの膨張量や膨張速度は2つの活動で大きな違いは無いように見えます(図8-1)。また、地震回数の増減パターンもよく似ています(図8-2)。2015年の活動がとりわけ大きく特異だったようには見えません。2001年、2015年の活動とも、地下10km程のところにあるマグマだまりへのマグマ供給を契機として、それより浅いところの熱水系が刺激されて、地震活動や、噴気活動が活発化したことには変わりないものの、2015年にはたまたま熱水の一部が地表に到達して、噴火したものと考えられます。