9. 今後の課題
2015年11月20日にレベルが1に下がりましたが、活発な噴気活動は継続中です。火口・噴気孔からは火山ガスが放出されており、大涌谷の駐車場では多いときで10ppm程度の二酸化硫黄が観測されています。通常、大涌谷で放出されている火山ガスは硫化水素で、これはいわゆる玉子の腐った臭いがします。一方、二酸化硫黄は刺激臭として感じられ、ぜんそく患者など呼吸器が弱い人が吸うと数ppmで生命に危険がおよぶことがあるとされます。硫化水素以外に、二酸化硫黄が火山ガスに含まれるようになったのは、現在放出されている噴気が高温なためです。 2001年の火山活動活発化の際にも噴気が強くなりましたが、主要な噴気は暴噴した蒸気井から発生していました。このため噴気がある程度減衰した段階で、井戸に工事をほどこし、噴気を止めることが出来ました。しかし今回は多数の火口・噴気孔が自然に開口しています。このため、二酸化硫黄の濃度が下がるには、噴気の温度が下がったり、噴気の量が減ったりするのを待つ必要があります。しかし、現在のところ噴気の量は噴火直後ほどでは無くなったものの、5月ごろから始まった噴気の活発化前には戻っていません(図9-1)。